寿司女とバナナ男

日韓米のカルチャーもやもや

客人

今は香港で働く夫の親友が、旧正月休みに日本に観光に来たので

一緒に赤坂でご飯を食べた。

フィリピン生まれ台湾育ち、教育はアメリカ、という彼は

私が聞いていて照れくさくなるぐらいのザ・親日家で

YOUは何しに日本へ、あたりの番組に御出演頂くにはもってこいの人材だ。

 

香港のカオスぶりやマナー悪い中国人への悪口() で

ひとしきり盛り上がったりして楽しい時間を過ごしました。

 

もうちょっと英語がしゃべれたらなあ^^;

 

夫も彼も国際色豊かなバックグラウンドがあるけど

けっこう彼ら自身はそのことをなんとも思ってないというか

自分は自分、みたいな感じ。

私はそこに憧れを見てしまうけど軽くいなされちゃうんだよね、いつも

人からの憧れ目線をうまく内面化させて自分のこと説明する日本在住の外国人って

多いような気がするんだけど ドミニク・○ェンさんとか・・・

 

こんなに賢くて優しいあなたが大好きで憧れの国・日本が

ずっとこのままであってほしいなあと感傷的に思うなあ

 

 

 

 

 

 

日本人化。

私の住む都内のマンションには外国人(特に白人系)が多く居住している。

 

時々、エレベーターで彼らと居合わせるとき、彼らの日本人的よそよそしさに

私が落ち着かない気分になることがある。

 

ある日、私は夕食のテイクアウトカレーを提げて、ある白人男性とエレベータに

乗り合わせた。

カレーのおいしそうな匂いに満ちるエレベータ。

これがもしカリフォルニアなら。。。

「いいにおいだね、私もおなかすいた!」

ぐらいはいわれるかも。もっと饒舌な人なら、どこで買ったのか教えて、とか聞くでしょう。

でも何の会話も突っ込みもなく、日本風の、相手の邪魔をしない沈黙のまま私はエレベータを降りたのだった。

やっぱり人間って環境だな。

 

 

 

李光洙 韓国近代文学の祖と「親日」の烙印

 

李光洙(イ・グァンス)――韓国近代文学の祖と「親日」の烙印 (中公新書)

李光洙(イ・グァンス)――韓国近代文学の祖と「親日」の烙印 (中公新書)

 

 

finalventさんの極東ブログで紹介されており、面白そうだったので読んでみました。

 

[書評] 李光洙(イ・グァンス)――韓国近代文学の祖と「親日」の烙印(波田野節子): 極東ブログ

 

李光洙は「韓国の夏目漱石」と呼ばれ、「無情」などの著作が有名。韓国の近代文学の発展に大きく貢献しました。若かりし頃、日本に留学し早稲田で学び、その後日本語と朝鮮語で多くの著作を残しました。朝鮮の独立運動で活躍しますが、途中から転向し、日本に協力的な姿勢を取ります。しかしそのために解放後は親日派として糾弾され、北朝鮮に連れ去られ消息を絶ったといいます。

本書を読了し、2点のことを思いました。

1つは、中国・韓国の近代文学の発展には、日本の影響が大きいこと。これは、普通に日本史を学校で習っていても、意外と得難い視点だと思います。だから日本って凄いんだー、みたいな安直な感想もアレですが、当時の日本の先進性ってすごかったんだなー、とは素直に思いました。

 

2つは、李光洙をどう見るか、ということの無意味さ。これには、finalventさんの書評に改めてしみじみと共感しました。以下、引用します。

 

一つは、ひどい言い方だが、李光洙をどう見るべきだろうか、として焦点化して見る必要はないのではないか、ということだ。彼はけっこう気まぐれな感情で行き当たりばったりに生きて、そしておそらくイケメンの典型的な人生の影響もあって、まあ、結果的にそうなった、そしてそうなったことが時代というものだったなあ、ということでも言いように思えることだ。
 めちゃくちゃなことを言うようだが、誰の人生も、早世で余程明確な意志がなければ、後半生に至って、些細な支離滅裂さを覆う凡庸のなかに収束するものだ。むしろその凡庸さの自覚のなかで、何を築き上げたかという達成が問われるが、その意味では、李光洙は韓国近代文学を作ったということだし、それはもっと卑近に言えば、現代の韓流物語の枠組みを作ったということもあるだろう。

彼がどれぐらい愛国者だったのか、どれぐらい反逆者だったのか、日本にどれぐらい親しみや敬意を、あるいは脅威を抱いていたのか、アジア解放という大東亜戦争の大義名分にどれぐらい共感してたのか、またはその態度はあくまでフェイクだったのか・・・なんてことを検証するのは、重要なことではないのだと思います。

その行動のひとつひとつにぶれない明確な彼の意志があったのかというよりは、彼は韓国併合といった大きな時代の変化にうまく「適応」して生き、その意味でそれなりに平凡に生き、その平凡さの中で偉大な著作を記したことに重要性があるのでしょう。

それにしても、李光洙という1人の聡明な朝鮮人の人生を通してみる日本史は、非常に面白く、説得力があります。ここ数年で読んだ韓国・朝鮮半島関係の書籍のなかでは最も面白いもののひとつでした。

 

 

プログラミングバカ一代

 

プログラミングバカ一代 (就職しないで生きるには21)

プログラミングバカ一代 (就職しないで生きるには21)

 
プログラミングバカ一代 就職しないで生きるには21

プログラミングバカ一代 就職しないで生きるには21

 

 

 

タイトルの惹きに寄せられて、手に取ってみました。

日本のゲーム業界を牽引、誰でもわかるビジュアル言語enchantMOONを開発し近年はプログラミング教育もリードする、敏腕プログラマーの半生をつづった自伝的なエッセイです。

筆者は高校時代にすでに雑誌に連載を持ち、それを契機としてドワンゴやマイクロソフトのそうそうたる面々と出会っています。幾度か失敗しながら、起業し、夢である「僕の人類補完計画」(世の中の多くの人をプログラマーにする)を実現するため、壁を乗り越えてスゴいやつらに会い、またレベルアップしていきます。

本書を読む感覚は、まさにRPGゲームをプレイしているようでした。少年の頃、「天才」と称されたことに縛られてしまっている・・・なんて主役張るにぴったりのトラウマです。

中盤でGPUを一般化した偉人アラン・ケイと出会い、語り合うところなどは、まるでDISC1からDISC2にディスクを入れ替えるときのような、一つのエピソードが終わった感と静けさが漂っています。

そして終盤で天才中学生のプログラミングを見てあっと驚かされる場面などは、筆者の意思を継ぐように、次世代の若者たちが、この筆者の物語を継承していくという未来を予感させるものでした。

enchantMOONやMIT開発の子供向け言語Scratchなど、私も門外漢ではありますが、プログラミング教育には関心を持っているので、著者の他の書籍も手に取ってみようと思いました。

 

 

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの

 

人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)

人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)

 

 

前回読んだ人工知能の入門書本が、研究者ではなくプロのライターによる、ビジネスマンに向けて書かれたビジネス寄りの実践的な本だった。そのため、世界のグローバルIT企業様の最新研究開発動向とかカッティングエッジな企業の買収劇とか各国の競争とそこに立ち後れちゃってる系日本やばっ☆という感じの煽りを全身で受けとめてめっちゃ意識高い高いされましたぱしゅまるです。

 

一方で本書は研究者によって書かれた入門書ですので、「人工知能とは何か」というそもそも論を最初に持っていてくれたのが非常にわかりやすかったし、自分ごととして説明してくれている点の説得力がありました。好きだから語る、だからこっちもずっと聞いてたいみたいな。にもかかわらず人工知能の限界を説きつつリスクについても解説する筆者のバランスのとれた筆致に好感を持ちました。

以下の4つの人工知能についてのレベル分けは、混乱していた私にとってとても助けになりました。

#1 単純な制御プログラムを「人工知能」とマーケティング的に称している段階

#2 将棋プログラムや掃除ロボット、質問に答える機能など、入力と出力の組み合わせが極端におおい、古典的人工知能

#3 推論の仕組みがビッグデータをもとにしているもの。検索エンジンに内蔵されているもの。いわゆる機械学習(サンプルとなるデータをもとに、ルールや知識を自ら学習するもの)と呼ばれているもの。

#4ディープラーニング。機械学習をするさいのデータを表すために使われる変数じたいを学習するもの。今もっともホットな領域。

また、「すでに実現したものはそれをもう誰も人工知能とは呼ばなくなる」というのも言われてみれば目から鱗でした。メールのフィルタリング機能を人工知能とかだれもいいませんものね。

 

誰でも読んでわかる、より本質的な意義を問う本だったと思います。

 

火山はすごい 千年ぶりの「大地変動の時代」

 

火山はすごい (PHP文庫)

火山はすごい (PHP文庫)

 

著者からの献本が勤め先に届いていたので、読んでみた。

本書は、2002年の同著の内容を大幅に加筆した改訂版。阿蘇山、富士山、雲仙普賢岳、有珠山、三宅島の噴火についてのほか、その後に起きた東日本大震災や御嶽山の噴火について、火山のしくみや噴火予知・火山学の手法の紹介を交えながら著者の体験をもとに語られる。

 

火山の噴火は、少なくともまだ現在の火山学では完全に予測できない。ときに噴火で多くの死者が出る。そこに理由も必然性もへったくれもあったものじゃなく、その時間にその場にたまたま居合わせた人がほんとうにただ偶然に亡くなる、あまりの人間のちっぽけさを、私もそうだが、昨年の御嶽山の噴火で少なからぬ人が改めて思い知っただろう。

一方で、噴火でおこる「岩なだれ」が海に注いで新しい島々をつくりあげたり、マグマによってできた新しい山が観光資源となったり(昭和新山など)、マグマの熱によって温泉が湧き出たりと、火山は多くの恵みを人間にもたらす。それを享受してきたのが日本列島に生きる人々というわけである。

 

著者は、過去から未来をとくヒントがあるといいながら、科学には限界があるとも言う。知識は必要だが、その知識に全面的に頼ってはいけないとも説く。この辺りは少し、ダブルスタンダードと感じる人もいるのかもしれない。有珠山のようにある程度成功したケースもあるとはいえ、噴火予知なんてちっともできてないじゃないかと、火山学者に罪悪感を期待する人もいるのかもしれない。そのような意地悪な考えには耳を貸さず、研究に邁進してほしいと願う。予知の研究成果は、例えば御嶽山の噴火後に、自衛隊や消防隊の安全な活動時間を確保するうえで役立っていることなどは本書にあげられているとおりだ。

 

著者の一般への熱心な啓蒙活動にはいつも頭が下がる思いである。文章も平易で読みやすい。古文書をひもといて何万年単位で語られる火山のストーリー、山頂が陥没してできる巨大なカルデラのでき方、海をも走る火砕流・・・ダイナミックで壮大なエピソードが満載で、恐ろしくも美しい火山を誰しもが味わうことができる1冊であろう。

 

 

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か

 

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)

 

 

人工知能についての入門書を探しており、読んだなかの一冊です。すでに感想はいろいろなところで出ていますので、概要などは他を読んでいけばわかるかと思います。

脳科学の研究成果がAI開発へと導入され、コンピュータが音声や画像を認識するための「パターン認識能力」を飛躍的に高めることに成功した、というところが、人口知能を理解するうえでのまず第一歩、なのではと思います。つまり、膨大にある情報の中から、ある特徴を発見できること、そしてその能力は人間の脳の研究成果の結果である、ということです。

2012年、グーグルはスタンフォード大学のエン教授と共同で、このディープラーニング技術を使い、YouTube上の大量の動画を教科書代わりにして、自力で「猫」や「人」の顔などの視覚的な概念を学習。この成果にもとづき、コンピューター画面上にそれらのイメージをゼロから描いたといいます。

このような技術が、今、グーグル、Facebook、マイクロソフト、IBMなどの世界的IT企業が、先を争うように開発を進めている最先端のAI、というわけです。当初の「パターン認識」にとどまらず、今後は「自然言語処理」「ロボット工学」など、さまざまな分野への応用が期待されています。

本書は、グローバルIT企業の最新の研究内容の紹介が多く、総論的に今、何がおこっているか知るには最適の書だと感じました。

歴史や未来も語られますが、基本的には、人工知能が、どうビッグデータの中からビジネスでお役立ちな情報を集め、それがどう実践的なビジネスに役立つか、というところに焦点が当たっている印象がありますので、とりわけビジネスマンは読んでいて、アイデアが得られる本なのではないかと思いました。著者は人工知能の研究者ではなくあくまでジャーナリストとして人工知能に中立的な立場なのも好印象でした。

一般人向けの人工知能の総論的な入門書としては、「人工知能は人間を超える」が面白かったですので、次はそちらの感想を書こうかと思います。